こんにちは!佐藤です。
先日お客様が「亜紀子さんのオススメの本があったら、教えて下さい」とおっしゃいました。
速読法なんかも勉強して(笑)ビジネス書などを沢山読んだ時期もありましたが、最近は質の良いモノを普通の速さで(笑)むしろ味わうように読書したい、と思うようになりました。
かなり偏っている私の好みですがご参考になれば・・と、ひとつ詩集をご紹介させて頂きます。
『倚りかからず』
もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
作者の茨木のり子さんは1926年生まれ。2006年に亡くなられています。
10代に戦争を経験し、人間の闇も絶望も味わってきたのり子さん。
瑞々しい言葉で紡ぎ出される、厳しくも底に深い優しさが流れている彼女の詩が好きです。
一本筋の通った芯のある女性になりたいと思いつつ、なかなか近付けない私の憧れかも知れません。
「いい詩には、ひとの心を解き放ってくれる力があります。
いい詩はまた、生きとし生けるものへの、いとおしみの感情をやさしく誘いだしてもくれます」
(茨木のり子)
名著には、ふとページをめくった時に必ず心に響く文章がある。
そしてその一節にいつも救われています。
生きている間に、まだまだ沢山出会いたいですね。
- 倚りかからず (ちくま文庫)/茨木 のり子
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