先日とても心打たれる木版画家さんの作品に出会いました。
その作家名は風鈴丸さん。
上の作品は2006年作「サクラ、サクヤ」。
実際に見ると色彩も表情も彼女の命が入っていて、とても生き生きしています。
詩が一緒に刻まれているのでが、これがまたとても響くんです。
『吹き荒ぶ北極圏の風の中に立ち
僕らはとても小さな生き物だと
そしてそれでも あたたかく たくましい 生き物なのだと
虫や草と同じように、生まれたり死んだり
繰り返し続ける いのちなのだと
体の奥底から 知ったのです』
(「オーロラの空の下で」)
個性的で強い世界感を持つ風鈴丸さん。
『自分の世界を持っていて、そこに揺らぎが全くないというところが自分の強さだろうと思います』
と彼女は言います。
『自分が自分であることに対して何の迷いもありません。だから人に受け入れられないかも知れないと思っても、自分を表現してしまえる強さが持てるんでしょうね。』
だからでしょうか。
彼女の作品から、彼女の見ている世界の美しさや強さや普遍的な何かが伝わってきます。
まだまだ彼女のように強くはなれないけれど、彼女の見ている世界を通して地球の宇宙の美しい真実を感じていたいな、と思います。
人生の煌きは本当に一瞬一瞬で、日常の雑事にすぐにかき消されてしまうけれど、こうして思い出させてくれる。
こんな風景に出会えただけで、生まれてきて本当に良かったなと思う。
美しいものに触れる瞬間は、魂の唯一の栄養です。
だって僕らはいつも何かに立ち向かわなくてはならない。
地面を踏みしめて歩かなくてはならない。
そんな時、心の奥にずっと残る風景のように風鈴丸の作品が残っていてくれたらどんなにいいだろう。
ご興味のあるかたは、4月25日まで渋谷東急Bunkamuraで展覧会をなさっていますので是非彼女の作品に触れてみてください。